1915年イタリア生まれのハリー・ベルトイアは15歳の時にアメリカに移住。デトロイトの大学で彫刻と金属工芸を学び、卒業後にクランブルック美術アカデミーに入学、金属工房を設立し指導にも携わりました。1943年にイームズ夫妻と共にプライウッドの加工技術を開発し、その後金属ワイヤーを使った作品を世に発表しました。代表的なのは、ワイヤーのみで構成された、アート作品とも称される「ベルトイアダイヤモンドチェア」。ワイヤーの網目は曲面に合わせて一つ一つ形を変えて配列されていて、身を包むような座り心地も重要視しています。座面もワイヤーで作られており、透けて見える背景もデザインの一部として取り込んでいる、素晴らしいアート作品です。
ほかに、「ベルトイアサイドチェア」「ベルトイアスツール」「ベルトイアハイスツール」など「ダイヤモンドチェア」のデザインをベースにした個性的なチェアが発表されています。ベルトイアの作品群はメッシュ構造で作られているのが特徴ですが、ベルトイアはこのシリーズのみをデザインして家具デザインから身を引きました。そのような背景も鑑みて作品群を眺めると、金属で儚さをも表現しているような魅力にあふれています。